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執筆者の写真広く表現の自由を守るオタク連合

山田太郎の厚労省レク資料への開示請求が改めて不開示に決まりました



 そもそも何を開示しようとしていたかと言うと、山田太郎が動画内で語っていたゲーム障害及び嗜癖障害に関するレクリエーション資料です。昨年1月に開示請求を行い、同年3月に不開示が決定、4月に不服を申し立てて今更決定という超スローペースです。臨床心理学分野の査読でももう少し早い。


 手元に届いた通知によれば、開示請求者はこの決定に対して意見書を提出できるようです。しかし、私は送らないこととしました。後述するような「法律論を盾に取ったような主張」に対し、法律の素人が有効な反論をできるとは思えませんし、仮に有効な反論をしたところで決定が覆るわけでもなさそうだからです。


 とはいえ、決定の理由は素人から見ればかなり違和感があるというか、屁理屈のようにも感じられるものでした。なので、ここでその理由を公開するとともに、皆さんのご意見や印象を伺えればと思います。特にこの手の話に詳しい人がいればアドバイスが欲しいところです。


 なお、諮問庁に送付した不服の理由については『厚労省に不服審査請求を送りました+文科省にも開示請求をかけました』で詳細を述べています。


棄却の理由

 不服が棄却された理由は2つに分かれています。


①本件存否情報について

ア 請求人は、審査請求書において、「特定議員(引用者注:山田太郎)は、自身のYouTubeチャンネルにおいて厚生労働省とのレクを行ったことを公言している」等と述べるが、特定議員が本件存否情報に関連する動画を自らインターネット上で公開していることをもって、本件存否情報が法令の規定により又は慣行により公にされている情報とは認められないので、請求人の主張は、上記3(1)の判断を左右しない。

 (引用者注:「上記3(1)の判断」は行政機関の保有する情報の公開に関する法律の第8条が『開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる』としていることに基づく)


②文科省の開示について

イ なお、請求人は、他の行政機関(引用者注:文部科学省)における開示決定等に言及しているが、開示決定等については、開示請求を受けた行政機関の長が行うものであり、他の行政機関の判断が原処分の当否に影響するものではなく、また、特定個人を識別できる情報は除くことを求めているとの主張についても、本件存否情報が不開示情報に該当する以上、部分開示を行う余地はないから、その主張は失当である。


自分で決定自分で諮問

 本件の不服申し立てについて、まず違和感があるのが、諮問庁が不開示を決定したのと同じ厚労省であるという点です。つまり、自ら不開示を決定し、それに対する不服も自ら審査するというマッチポンプが行われています。

 自分の決定に対する不服を自ら認めるということはまず起こりえないでしょう。不服の申し立てが全く意味のない制度になっています。


本件存否情報

 本件の不開示の大きな理由は、議員が省庁とレクを行ったかどうかの情報を公開すると『国会議員との忌たんのない意見交換等を困難と』するためであるという点です。しかし、これもおかしな話です。国会議員と省庁が国民に対し明らかにできない『意見交換等』を行う可能性があるのでしょうか。百歩譲って国防にかかわる問題など機密性が高い場合はわかりますが、依存症に関する議論はそうではありません。むしろ、国民に対し明らかにできないような活動が行われているほうがまずいでしょう。


 こうした判断は、厚労省独自の見解に過ぎないと考えています。現に、同様の開示請求を文科省に行ったところ、すんなり資料が出てきました。少なくとも文科省はレク資料の公開が『国会議員との忌たんのない意見交換等を困難と』するものではないと考えているようです。

 同じ法律に基づいているはずの処理で、省庁により判断が真逆になってしまうのはおかしな話です。であれば、どちらかが間違っていると考えるのが素直な発想でしょう。


堂々巡りの屁理屈

 そして、よく読むと、そもそも厚労省の当初の不開示の理由が全く理由の説明になっていないこともわかります。

 厚労省は3段階の理屈で、本件の情報を不開示としました。その3段階は①法律は存在を答えるだけで不開示情報を開示してしまうとき、その存在を答えなくてもいいとしている→②本件はそれに該当する→③本件は議員の個人名を特定しているので、個人情報にあたり開示しない。という流れです。


 しかし、国会議員という公人の氏名だけが「保護しなければいけない個人情報」にあたるという判断は不可解です。すでに全国民がその存在を知っており、当人もそれを望んですらいるのに、なぜ覆い隠す必要があるのでしょうか。


 全体を通して、厚労省の判断は、法律論を多用するものの個々が有機的につながらず、ためにする議論であるようにしか思えません。しかし、こうした詭弁でも厚労省自らが不服を突っぱねたうえで不服を審査したかのように振る舞えるというのは、明らかに制度の欠陥と言えるでしょう。


 とはいえ、この理屈なら山田太郎個人を指名せずに「全国会議員」で開示請求したら通るのでは?という気もします。試してみるか……。

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