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広く表現の自由を守るオタク連合とは

​(設立要旨)

 参議院選挙が終わり、数日が経ちました。「表現の自由を守る」と訴える山田太郎氏が「戦闘力53万」の予告通り、53万票を超える票を得て比例当選したことで、氏と支持者がさらに勢いづくことが予想されます。


 しかしながら、私はこのムーブメントを違和感を持って受け止めていました。おそらくそうした違和感を持った人は少なくないのではないでしょうか。

 違和感の正体、その最大のものは、氏が自民党から出馬したことにあるでしょう。自民党は知っての通り、2012年に公表した改憲草案では広範な権利の制約を可能とする「緊急事態条項」を含め、権利を「公共の福祉」のために利用することを求めた第12条を「常に公益及び公の秩序に反してはならない」へ書き換えています。権利の擁護を理解しているとは思えません。

 山田太郎氏は自民党を内側から変えると主張しますが、果たしてどれだけ可能でしょうか。よしんば氏の思惑通り、「表現の自由に関しては」自民党を変えられたとしても、その他の権利が侵害されてしまえば、結果として表現の自由も棄損される結果となるでしょう。そのような権利を制約する法案に、比例代表として当選した山田太郎氏が賛成する可能性は低くないでしょう。

 さらに問題なのは、山田太郎氏とその支持者が、「漫画やアニメ」といったいわゆる「オタク文化」の自由を擁護しようと試みる一方で、それ以外の表現の自由については極めて冷淡な態度をとってきたことです。

 そのことは、2016年当時総務相だった高市早苗氏が、放送局が政治的な公平性を欠くと判断した場合、放送法4条違反を理由に電波停止を命じる可能性へ言及した件で「放送法176条の業務停止や74条の電波停止の条項についてはどの様な場合執行できるのかは曖昧だから過度になる必要はないと思います」と発言したことによく表れています。

 ある表現の自由について冷淡であることは、結局のところ、その自由が制約された口実をもとにほかの自由も制約されることにつながるのでないかと思われます。

 個々の論点はさておくとしても、山田太郎氏を中心に「オタク」が「表現の自由」を守るというムーブメントが巻き起こり、それが「オタク代表」であるかのように扱われるのはやはり違和感があり、忸怩たる思いでもあります。

 そのような思いをTwitterで発言したところ、一定の賛同を得ることができました。山田太郎氏に違和感を覚える、表現の自由を守りたいと考える人々の受け皿が必要ではないか。そこで、私新橋九段はここに、「広く表現の自由を守るオタク連合」の立ち上げを提言します。

​2019年7月25日

発起人 新橋九段

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