新橋九段です。題名通り、そして例年通り表現の不自由大賞2021の開催をここに宣言します。
昨年はコロナと東京オリンピックにより、思い返せば表現の自由の問題が一昨年より目立たなかった印象もありました。単に忘れているだけかもしれませんが。過去2回の不自由大賞では人物本位のノミネートを行ってきましたが、今回は3回目ということもあって少し趣向を変え、出来事を基準にノミネートをしていこうかと思います。同じような出来事にかかわっている人を全員ノミネートするときりがないし、一方で限られた人をノミネートすると基準が不透明だという事情もありました。これまでは「主演俳優賞」みたいなものでしたが、今回は「作品賞」みたいなものだとご理解いただければわかりやすいかと思います。
なお、今回もですが、ノミネートの最終的な判断は新橋が行っています。そのため、漏れや欠けが生じることは避けられないでしょう。これにぜひ投票したかったというものがあれば、自由記述欄にてお知らせください。最後の総評などで参照させていただきます。
投票は以下のURLからお願いします。
ノミネートと選定理由
ファクトチェックと称する批判者への圧力と虚偽の流布(大阪維新の会)
ファクトチェッカー【公式】大阪維新の会 (@oneosaka_factck) のアカウントで昨年2月から突如として始まった「ファクトチェック」です。彼らがファクトチェックの対象としていたのは大阪維新の会に対する批判ですが、ファクトチェックに虚偽や誤魔化しが多数含まれていたこと、公党が個人のアカウントのツイートを晒しながら否定するかたちで圧力をかけたこと、そもそも当事者がファクトチェックをするという構図のでたらめさなどから強く批判されました。結局、ファクトチェックは7月の8回目で停止していますが、公党がデマを用いてまで自身に対する市民の批判を抑え込もうとする態度は表現の自由に著しく反するものです。
コロナウイルス関連報道に対するバッシング、根拠のない虚報扱いなど(主に河野太郎、二階俊博、岸信夫)
政府のコロナウイルス対策は終始杜撰なものであり、それに対してマスコミからは、杜撰さに対してはいささか穏当な批判がなされました。しかし、それすら受け止められないのが政府などで主要な役割を担う自民党の重鎮議員でした。防衛大臣である岸信夫は自衛隊大規模接種センターの予約システムが破綻しているという朝日新聞の報道に対し、非を認めるどころか取材が不正な虚偽予約によるものであると主張しました(実際には、システム上で出鱈目な予約ができることを確認した後すぐにキャンセルされています)。また、当時ワクチン担当相であった河野太郎は厚生労働省のHPに公開されているスケジュールを報じたNHKに対しなぜか出鱈目であるとTwitterで反応しました。当時自民党の幹事長であった二階俊博にいたっては、NHKの取材に対し「ケチをつけるな」とすら発言しています。
国旗毀損罪制定の動き(主に高市早苗)
日本国旗を傷つけることを犯罪化しようとする動きはたびたび見られます。個人的にそうした表現が嫌いなのは勝手ですが、わざわざ法律で規制する意味がないのは明白であり、ナショナリズムに基づく表現規制です。こうした動きの中心にいるのが高市早苗ですが、ネット上の一部の「オタク」たちの間では、氏が自民党総裁選に出馬した際、なぜか自由を守ってくれる人として応援しようという動きがあったことも忘れてはいけません。
オリンピック反対派のプラカード撤去やデモの弾圧など(主にJOCや準備委員会)
東京オリンピックは約半数の国民が否定的にみるなか強行されました。そうした背景ですから反対運動が起こるのは当然ですが、オリンピックの運営側はこうした穏当で合法的な運動にプラカードの撤去やデモの抑圧といった手段で応じました。なお、2022年に入りすでにNHKが、反対運動の参加者に日当が支払われていたというデマを流していますが、これは2022年の不自由大賞の候補に入ることは間違いありません。
表現の不自由展会場使用許可取り消し(吉村洋文大阪府知事)
今年は2連覇を成し遂げた河村たかしがいない代わりに、別の人が表現の不自由展関連で登場です。吉村大阪府知事はさしたる理由もないまま、会場の使用許可を取り消しました。もっとも、こうした不当な処置は案の定すぐに是正されることになったのですが。吉村は大元のあいちトリエンナーレの問題においてもレイシストやネット右翼を中心とする弾圧者を煽っており、本来であれば河村とともに問題の責任を厳重に問われるべき立場です。
歴史修正主義に基づく教科書や塾テキストへの介入(主に山田宏、日本維新の会、文部科学省など)
8月に河合塾の塾テキストに対し、自民党の山田宏がTwitter上で反応しました。その後、氏は塾に「接触」し、一時はテキストが修正される事態になっていました。氏が問題視した記述は南京大虐殺に関するものであり、内容的には歴史学の面から妥当なものでした。また10月には戦時性暴力被害者、いわゆる従軍慰安婦に関する教科書の記述が修正されていますが、これは日本維新の会が質問主意書でアシストしたものであることは忘れてはなりません。
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