新橋九段です。
今年1月から投票を募集した『表現の不自由大賞2019』の結果が出ましたので、お知らせします。投票数は86でした。皆さんのご参加に感謝します。
結果は、得票数が少ない候補からランキングで発表します。講評は新橋九段個人のものです。また、自由記述欄に投票理由のコメントがあった場合、一部を抜粋して公開します。
なお、この結果の簡略なまとめは、後日公式HPの「活動履歴」に公開します。いままでは「声明等」となっていた、画面上部のツールバーから見ることができます。
それでは、結果発表!
第7位 柴山昌彦 4票
ノミネート理由:文部科学大臣であった当時、街宣におけるヤジ排除を正当化する発言、高校生が政治的議論することを否定する発言をしたこと
幸いにも(?)最下位だったのは、元文部科学大臣の柴山昌彦氏でした。トリエンナーレ、ヤジ排除、そして高校生の政治的議論など、多種多様な場面で問題発言を繰り返した氏でしたが、ひとつひとつで主たる活躍(皮肉)をしなかったためか、票が伸びませんでした。
第6位 世耕弘成 5票
ノミネート理由:報道ステーションに対し、自身の報道に関して圧力をかけたこと
柴山氏に一歩先んじたのは、同じ自民党議員の世耕弘成氏でした。ちなみに、自由記述で『世耕弘成については、青山学院大中野教授へのスラップ訴訟も含めてほしいと思います。あれは威圧です』という指摘がありました。
これは、Twitterで中野昌宏氏が、世耕氏について『世耕弘成は原理研究会(統一教会)出身だそうですね。日本会議とシームレスにつながる』と呟いたことに対する訴訟です。この事実自体はすでに公の知るところであり、またツイートでは統一教会について良いとも悪いとも評価していないところですから、そもそも訴訟が成立するのか不確かなところです。
仮にこの訴訟が成立するのだとすれば、公人の所属あるいは出身組織について、事実を指摘することすらままならなくなり、これは明白な表現の自由の侵害といえましょう。
なお、中野氏のHPによれば、次回公判は2月14日だそうです。裁判の展開次第では、世耕氏は2020年の候補にも挙がることになるでしょう。
第5位 北海道警察 8票
ノミネート理由:安倍首相の街宣中にヤジを飛ばした個人を、法的根拠なく排除したこと
ヤジ排除問題のメインアクター、北海道警察が自民党議員の両氏を抜きました。個人的な推測では、キャラクターとしての特徴が見えないため票が入りにくいと思っていたので、意外です。言論弾圧としては極めて直接的な事件であったというインパクトによるものでしょうか。
投票理由も『インターネット上では山田太郎界隈の欺瞞がダントツですが、やはりマズさで言えば権力側の圧力だと思いますし、一つどころじゃなかったのを憂慮しています。森友問題でも話題になりましたが、政権ひいては安倍内閣総理大臣への過剰な忖度も原動力になっているのではないかなと…いやあ、流石に指示なんてしてないとは思いたいです』と、ダイレクトな、そして首相の存在につながる弾圧に危機感を覚えるものが。
なお、この問題で訴訟を支援する「ヤジポイの会」によれば、訴訟は今年始まったばかりです。世耕氏同様、場合によっては北海道警察も連続ノミネートあると思います。
第4位 文化庁 13票
ノミネート理由:あいちトリエンナーレなど、すでに決定されていた補助金を事後的に不交付したこと
トリエンナーレ問題の主演、文化庁が4位につけました。文化庁はトリエンナーレだけではなく、まるで不交付を正当化するように、映画などに対しても事後的な不交付を連発したので、監督省庁のトップだった柴山氏に手数で勝ったかもしれません。
文化庁が率先して文化を破壊してはまずいでしょう。
第3位 Twitter 14票
ノミネート理由:不明瞭な基準により差別に反対するアカウントを凍結し、差別発言を繰り返すアカウントを放置するなど
文化庁とのデットヒートを制したのは、民間唯一のノミネートであるTwitterでした。投票期間中もカウンターのアカウントを凍結しつつ差別主義者はスルーという、ある意味一貫した対応を続けており、2020年レースでの活躍が期待できるところです。
投票理由でも『全部に投票したいところではありましたが、より批判がしにくく、またそれが見えにくくなる恐れがあるという意味でTwitterを選びました』『本音を言うと全部ですがあえて選ぶならツイッター・ジャパン社ですね』などと熱烈な「不」支持を受けています。
なお、『ノミネートに新橋九段が入ってないのが残念。とはいえ新橋九段の垢消しにはぎもんなので、これに投票』などというコメントもあり、よっぽどであることも窺えます。
第2位 山田太郎 15票
ノミネート理由:表現の自由を守ると謳いながら、自民党から出馬し当選したことなど
団子を最後に抜け出したのは山田太郎氏でした。北海道警察に投票した人がコメントで言及するほど、悪くはない候補だったのですが、いかんせん一位が強すぎました。
『やはり表現の自由戦士は表現の自由に関して何も考えておらず自民党の権威主義的政策に盲従するだけの連中であると確信した』といったコメントが見られました。
しかし、「表面上は表現を守っている体」にもかかわらず、なみいる候補を押さえての2位入賞ということを、氏には重く受け止めていただきたいところです。
第1位 河村たかし 27票
ノミネート理由:あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」に対する弾圧、極右団体と連携した座り込みなど
堂々の第1位はやはりこの人でした。そりゃそうだ。活躍のレベルが違いすぎますから。
トリエンナーレ弾圧を主導しただけでは飽き足らず、極右と一緒になって座り込み、訳の分からない会見を開き、挙句不安になるほど奇妙な文章でTwitterをするという、全方位爆撃でした。
自由記述でも『河村氏を選んだのは、他の候補者と比較して、氏の言動によって提起された問題が扱われる範囲が最も大きいと言えることを根拠としています』『今年は政治家とメディアが極右と一体になって表現を弾圧した象徴的な年だった』と、影響力の大きさや広さを懸念する声がありました。
その他自由記述の内容
その他、直接投票理由に言及していないコメントですが、やはり多かったのは『これほどひどいレベルの事例だけでも7個も並べられ、さらにそれらが大した問題扱いされていないことに、現在の日本がいかにひどい状態なのかと愕然とさせられます』や『複数投票したかったです というか全部の項目が表現の不自由そのものだと思います』、『正直、昨年は問題が多すぎた。全部に投票したいくらいだ』『本当は全部に投票したいくらいです…』と、1票を投じる先を選ぶのに苦慮したと思しきものが多くありました。
確かに、複数投票可能なら私も全部に入れるでしょう。
また、『2020の大賞候補に大山一郎香川県議(自民党)以上の逸材が現れないことを祈ります』と来年への期待(?)を述べるコメントもありました。
表現の不自由大賞は単なるイベントではなく、その1年の出来事をアーカイブするためのものでもあるので、2020も開催する予定でいます。
2020は2019以上の盛り上がりを!……と言いたいところですが、盛り上がるということはろくでもない1年だったことを意味してしまうので、今年こそは表現の不自由大賞があまり盛り上がらない年にしたいものです。
以上、結果と講評でした。
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