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『表現の不自由展・その後』への不当な圧力に対する

抗議声明

 広く表現の自由を守るオタク連合は、あいちトリエンナーレで展示が行われている『表現の不自由展・その後』に対する名古屋市長、政府、一部の自民党議員による不当な圧力に強く抗議する。

 『表現の不自由展・その後』は8月1日より開催されているあいちトリエンナーレの展示の一環であり、公式ステートメントによれば『一度は展示されたもののその後撤去された、あるいは展示を拒否された作品の現物を展示し、撤去・拒否された経緯とともに来場者が鑑賞することで、表現の自由を巡る状況に思いを馳せ、議論のきっかけ』にすることを意図したものである。

 また、問題となった少女像は正式名称を『平和の像』といい、従軍慰安婦問題における戦時性暴力の被害者を記念するために作られたものである。

 この展示に対して、名古屋市長、政府、一部の自民党議員がそれぞれ不当な圧力をかけ、展示を取りやめるように働きかけた。そして実際に、『表現の不自由展・その後』は3日の展示を最後に中止されてしまった。

 河村たかし名古屋市長は従軍慰安婦問題に対する認識を理由に「国などの公的資金を使った場で展示すべきではない」と述べた。菅義偉官房長官ならびに柴山昌彦文部科学大臣は補助金交付の停止を示唆する発言を行った。さらに、自民党議員の有志団体「日本の尊厳と国益を護る会」は「『芸術』や『表現の自由』を掲げた事実上の政治プロパガンダだ。公金を投じるべきでなく、国や関係自治体に適切な対応を求める」などとする声明を発した。

 しかし、作品の内容が気に入らないからといって、助成を行う立場の者がその打ち切りを匂わせ、展示の中止を求める検閲のごとき行為は絶対にあってはならない。ましてや、戦時中の従軍慰安婦の存在は政府も認めているはずのものであり、河村市長の言うような「日本軍が主導して作った制度である証拠はない」ものではない。それにも関わらずこのような権力を用いた働きかけを行うことは憲法上保証されている表現の自由を正面から踏みにじる行為であると同時に、戦時中の日本の加害行為を否認する行為でもある。

 

 少なくとも、表現の是非はあくまで批評によって論じられるべきであり、権力によって一方的に断罪され、公から排除されるべきではない。

 広く表現の自由を守るオタク連合は、今回のような公権力による表現の弾圧を否定し、あらゆる表現の自由を擁護する立場をとる。


 政府、自民党、および名古屋市には、権力を用いて表現を排除するような行為を二度と行わないことを求める。


 愛知県、および愛知県警には、展示に対して暴力的な脅迫を行った者を検挙するなど適切に対処することで表現を守り、表現者、展示関係者、鑑賞者の安全を確保することと、不当な圧力や暴力によって表現の自由が侵害されない環境を整備することを求める。

2019年8月7日
広く表現の自由を守るオタク連合

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